まだ時間はある There is still time-Brother

本と映画の話

 1959年のアメリカ映画にON THE BEACH「渚にて」がある。物語は1964年に第三次世界大戦が勃発、核兵器による汚染で北半球はすでに絶滅し南半球のオーストラリアの一部のみが汚染を免れていた。しかし残された時間は短く5か月以内には汚染が到達すると推測されていた。ローマの休日の新聞記者役で知られたグレゴリーペック演ずるタワーズ艦長の指揮する米原子力潜水艦ソーフィッシュ号は、難を逃れてオーストラリアのメルボルンに入港する。

米海軍の原子力潜水艦ソーフィッシュ

 原子力潜水艦ソーフィッシュは、メルボルンから4ヶ月の航海に出向するが、この任務にオーストラリア海軍のピーター大尉が同行することになる。ピーター大尉が主催したパーティーでタワーズ艦長はエヴァ・ガードナー扮するモイラという美しい女性と知り合いになる。モイラはタワーズ艦長に一目惚れをするが、タワーズはアメリカにいる妻と子が死亡したことで心が晴れない。またピーター大尉は自分の留守中に汚染が進んだ場合に備えて、芝刈り機を買ってほしいとせがむ妻に苦しまなくて済むようにと強力な睡眠薬を手渡した。

 

 メルボルンを出航したソーフィッシュは、南極もすでに汚染されていることを知り進路をサンフランシスコへと向ける。サンフランシスコは死の街となっていた。この街出身の乗組員はタワーズ艦長の制止を振り切って上陸し戻ることは無かった。サンディエゴの街からは無線通信があったが、ブラインドに付いた紐がコーラの缶に引っかかって発信器を押しているのであった。

人々が消えてしまった街

 ソーフィッシュはメルボルンに戻ったが街はすでに汚染が始まっていた。病院には睡眠薬をもとめる人たちで長い列が出来ていた。教会には「まだ時間はある」THERE IS STILL TIME-BROTHER の垂れ幕が掛かっていた。

THERE IS STILL TIME-BROTHER

メルボルンに戻ったタワーズ艦長はモイラと昼間はマス釣りを楽しみ夜はワインを飲んで一夜を過ごした。ピーター大尉は妻と初めて会った渚を訪れ想い出を語り合った。タワーズは乗組員にどうするかを投票で尋ねた結果、アメリカへ帰ることになった。

 映画ではアメリカへ最後の航海に出発する潜水艦ソーフィッシュと艦長タワーズを渚で見送るモイラの姿が、オーストラリア連邦の愛国歌ワルチング・マチルダをバックに映し出されていた。

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