オフロードバイクについての一考察

オートバイの話

 小さなモーターサイクルで、近場の山道を走るのは楽しいものである。若い頃は友人たちと走るとついスピードを出して景色など見る余裕はなかったが、後期高齢者になった今ではそんな走りは危なくてとても出来ない。林道や旧道を走って山里を訪ね四季の移ろいを楽しんでいる。単独で林道などを走るといろいろな危険と遭遇する可能性があるので、山に行く時は必ず複数の友人と走るようにしている。                              写真の卓上モデルは1960年代に製造されたCT50と言うハンターカブのご先祖で、高低差のあるアメリカの牧場で使用するため、後輪に2種類のスプロケットをつけていた。50ccの小さなエンジンだが軽く小さくて野山を駆け回るには最高の乗物だっただろう。今見てもとてもお洒落なバイクだと思う。

                     1968年 ホンダCT50 ハンターカブのモデル

 

 私が最初に購入したオフロードバイクがホンダTL125バイアルスである。1970年代にトライアルという競技が知られるようになった頃にホンダが販売したバイクでトライアルの入門用として位置付けされていた。TL125は乾燥重量が98kgととても軽く車体は細い、変速機は5段で1速から3速まではセクション用で極低速である。4速と5速はセクション移動用で60km/hで走行できた。専用のタイヤはグリップが良くぬかるんだ急坂を難なく走ることが出来た。山に遊びに行ったとき友人のトレールバイクが苦労していた道を、スピードさえ出さなければ鼻歌で超えられたものだった。当時のキャッチコピーには「真のトライアルマシンは、すぐれたロードマシンでもある」とうたわれていた。近くの林道や旧道を通って自然の懐深く尋ねるには、今でも最適の一台ではないかと思う。電気系統が今風に改良されセルスターターなど付いていれば最高だ。

黎明期のトライアルマシン TL125 バイアルス

 さて最近、良く乗っているのがホンダのCT125ハンターカブと言うモデルで、人気があるらしく走っているのをよく見かける。まだ半年ほどしか乗っていないが、簡単なインプレッションを表しておこうと思う。

 最初に感じたのが、乾燥重量118kgだが予想外に重く感じる。メインスタンドから降ろした時、後輪がドシンと落ち重さを感じる。またがってみるとスッテプの幅が広く、足つきが悪い。初めて乗る人や女性は取り回しに戸惑うかもしれない。舗装が劣化している林道や一般的なダートでの走行は問題ないが、こぶし大の石や枯れ枝が散らばっている道や、雨水や融雪が深い溝を作っているような悪路の走破性は良くない。転倒して大切な車体を傷つけてしまうかもしれない。本当の悪路が予想される時、私はCT125では行かないようにしている。これは、あくまでも私の様にテクニックの無いライダーの感想であるが。

HONDA CT125

 しかし、このCT125には素晴らしい所もたくさんある。エンジンの音が静かで、低速から高速までとても良く走る。空いている舗装路では70kmこえる速度で静かにストレスなく走る。また燃費が素晴らしい。普通に走っていればリッター当たり60kmは無理なく走ってくれる。シートの形状が良く、連続100km位走っても、尻が全く痛くならない。25年乗ってきたスーパーカブ90と比べると走りの質が全く違う。全体にゆっくりとした乗り心地なのだ。荷台にボックスをつけておけば最高に経済的な買い物バイクとなるし極悪路さえ選ばなければ、そう遠くない所であればどんな所へも気軽に行くことの出来るツーリングの友となる。

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