高揚力装置

飛行機のはなし

 飛行機が離着陸する時に外を見ていると、翼の前と後ろにスルスルと補助翼のようなものが伸びてくるが、前の方をスラット、後ろの方をフラップと呼ぶ。これらは高揚力装置と呼ばれている。どんな仕事をしているのか簡単に説明しよう。それにしてもB727のスラット、フラップ凄いですね。

ボーイング727の高揚力装置

1 揚力は速度の2乗に比例して増加する。飛行速度が2倍になると揚力は4倍になる。  

2 揚力は翼面積に比例する。翼が広いほど大きくなる。

3 揚力は翼の形で大きく変わる。

4 揚力は空気密度の大きさに比例する。高度が低いほど、温度が低いほど有利になる。

  

 通常ジェット旅客機は10000m付近を800km程度の速度で飛行しているが、目的地に着陸するためには高度を下げながら速度を減少させなければならない。速度が減ってくると揚力が減少するためスラットやフラップを使って揚力の減少を防ぐ。日本では3000m以下は250ノット(450km/h)で飛行するように定められているので減速しなければならない。この速度では、フラップはまだ必要ない。

下の図は羽田空港のILS(計器進入方式)のものだ。

 羽田空港への降下進入中に400km/h付近でフラップを降しはじめ、速度の減少に伴ってスラット、フラップの角度を深くしていく。最終進入地点のCRESTと言うポイントを通過する時には、脚も降ろして完全な着陸態勢になっていなければならない。どの機種でも最終進入速度は130ノット(240km/h)付近になりこのまま着陸する。

 このようにスラットやフラップなどの高揚力装置は、離陸や着陸時の400km/hから230km/hと言った低い速度で飛行する時に、十分な揚力を発生して、飛行機が安全に離着陸できるように働いている。

 なおパイロットの訓練では、スラットやフラップが出ない、或いは両方とも出ないと言った緊急事態を想定してシミュレーターを用いた訓練を実施しているが結構難しい科目になります。

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