飛行機のニックネーム

飛行機のはなし

 アメリカ人はニックネームをつけるのが上手いと常々思っている。写真の機体は第二次世界大戦が終了してアメリカとソ連の冷戦が激しさを増していた1948年8月16日に初飛行を行ったノースロップ社のF89全天候戦闘機である。全天候戦闘機と言うのは、どのような天気でも飛行できると言うのではなく全く視界の無い悪天候でも、夜間でも敵機を攻撃できる能力を持った戦闘機の事を言う。

     アメリカ空軍のF89全天候戦闘機

 

 翼端の巨大なポッドには、攻撃用の武器と燃料をたっぷりと積んである。アラスカの空軍基地に所属しておりアメリカ本土を攻撃するソ連の爆撃機を迎撃するために、北極海上空を長時間飛行する任務に就いていた。このジェット機につけられたニックネームは 「SCORPION」”さそり”である。

 さてもう一機紹介したい。それはリパブリック社のF84ジェット戦闘機である。リパブリック社は第二次世界大戦のヨーロッパ戦線でドイツの工業都市の爆撃に向かうB17の護衛にあたったP47サンダーボルトの製造メーカとしてマニアには知られている。

アメリカ陸軍戦闘機リパブリックP47とボーイングB17爆撃機

 このリパブリック社がジェット戦闘機の黎明期に発表したのがF84サンダージェットである。当時はエンジンの性能が悪く、離陸するまでに長い滑走距離が必要であった。

アメリカ空軍F84ジェット戦闘機

 機種に丸い空気取り入れ口をぽっかりと空けて、なかなか離陸する事なく走り続けるこの機体を人々は親しみを込めて「イボイノシシ」と呼んだ。地上では鈍重なこの「イボイノシシ」も一旦、空に上がるとなかなかの運動性を見せて、空軍のサンダーバーズとして採用されたこともある。

アメリカ空軍のアクロバットチーム サンダーバーズ

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