もう少し脚が長ければ・・・BOEING737(2)

飛行機のはなし

 1980年代前半にはマクダネル・ダグラス社のMD90との販売競争で、ボーイング社でもB737に燃料効率のよいバイパス比の大きなエンジンを搭載する必要性にせまられてきた。こうした中で製造されたのが、B737クラシックと呼ばれた,-300,-400,-500である。搭載するエンジンはCFM56-3Bと言う形式でバイパス比5.5 直径は155㎝になる。

 B737の胴体は1950年代に就航したB707と同じものを使っている。そして主脚を延長することは構造的に不可能で、直径の大きくなったエンジンと地上とのクリアランスを確保するために、エンジンを前方に移動させ、持ち上げてその下部を平らにすると言った対策を取ることになる。日本では、JAL,JTA,ANKなどで採用されて、利用された方も多いのではないかと思う。

B737クラシックのおむすび型エンジン

 さらに1980年代後半になると、エアバスA320が登場してくる。B737と同じ市場で販売を伸ばすために、B737の弱点を徹底的に研究して誕生したA320は、ヨーロッパ、日本、中国そしてアメリカでも好調な売れ行きを示し日本ではANAが最初に導入した。  

 これに対抗するためにボーイング社は、B737クラシックに様々な最新設備を導入したボーイング737ネクストジェネレーションと呼ばれる-600,-700,-800,-900型機を製造する。エンジンはクラシックと直径は殆んど変わらないCFM56-7Bを搭載している。その他操縦室を更新、胴体を延長して旅客数を増やしていく。この型式のB737は結構な販売成績を示し、日本ではスカイマークの機体を全国で見ることができた。

 2010年になると、エアバス社はA320を更に改良した、A320neo(New Engine Option)の製造を発表した。A320neoは従来型に比べて、燃費面で15%の低減、騒音面で50%の低減がなされていて、2016年の時点で世界各国から4500機以上の受注を受ける大ヒットとなった。

 危機感を持ったボーイング社は,A320neoの対応策として全く新しい機体を製作するか、現有のB737ネクストジェネレーションを改良するかの判断を迫られます。ボーイング社の技術力をもってすればA320neoを超える旅客機を作ることは難しいことではないと思われるが、その間に市場をエアバスに奪われることを恐れたボーイングは、B737を改良する道を選んだ。こうした経緯を経て誕生したのがB737MAXである。

 B737MAXでは、更に直径(173cm)の大きなCFM LEAP-1Bエンジンを搭載するために、その位置はさらに前にそして上に移された。その結果、大きな迎え角時に、あるいはエンジンの出力を急に上げた時に機首が上がる傾向が見られる様になった。この過度な機首上げ姿勢を、尾部のスタビライザーで自動的に修正するのが「MCAS」だ。二つの事故は、通常の飛行状態にある時に、機首にある迎え角センサーが誤作動して大きな迎え角を感知して、「MCAS」が作動して、機首を下げて墜落させたものだった。

 最後にウィキペディアでは737MAXの事故に関して次のように書かれている。

●相次ぐ737MAXの墜落事故にはこのシステムの不具合が関連していると考えられている。エチオピア航空の737MAX型機の墜落事故に先立って、複数のパイロットからFAAにMCAS特有の機首下げによって操縦不能に陥るという問題が報告されていた。ライオン・エア610便墜落事故とエチオピアの302便墜落事故で墜落した737MAXは、墜落寸前、両機とも水平安定板が機首下げ方向に一杯に切られた状態であった。                                         ボーイングは機体の安全性について問題はないとしていたが、2019年4月までにソフトウエアの改修を行うとしている。4月4日に、ボーイングは2度の墜落事故の原因が「いづれも制御システムの誤作動だった」と認めた。●

 なおB737MAXは2021年末に180か国で運航停止が解除され、2022年1月には1日1600便が運航されている。

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